ディヴァイド
2015/07/03
この手の閉鎖空間へ理不尽に閉じ込められた人たちが崩壊してゆく系の映画が好き。
ダンサー・イン・ザ・ダークで有名なラース・フォン・トリアーのマンダレイや、スタンフォード監獄実験に基づいたesとか。
ある日、ニューヨークが謎の空爆を受けて崩壊しちゃう。
で、命からがらマンションの地下室に逃げ込んだ男女9人。
この極限状況で9人はどんな結末に辿り着くのだろうか。。。
って、感じのツカミ。
シチュエーションはイイカンジじゃないですか。
こういう映画の面白みは欲望や狂気が理性を決壊させる瞬間だったり、爆発した狂気が潰えてゆく過程だと思ってる。
この自分の評価基準に照らし合わせてみると、この映画は物足りなかった。
シッチャカメッチャカな行動を突然したりするキャラクターの狂気をセリフや振る舞いで表現することって、簡単そうだけど文脈がしっかり作られてないとダメなんだなと。
地下室の外からやってきた侵入者をやむなしで殺してしまったが、死体が腐って悪臭がヒドい。
これはもう便所(ボットン)に捨てるしかない。でも、死体を捨てるには穴が小さすぎる。
仕方ない、、死体をこの斧で切り刻もう。
と、なりボビーというチンピラが死体処理をやることになった。
多少のケンカはしてきたでしょうが、いくら死体とはいえども人間を切り刻む経験なぞしてないです。
なかなか斧を振り下ろせずに自ら鼓舞するシーンがしっかりと尺をとって表現されてる。
これは分かる。
しばらくすると、突然オカマなサイコ野郎になってる。
こちらとしては「え、なんで?」って思う。
なぜ、女装をするのか全く分からなかった。突飛なことをすれば狂気を演出できるだろうという狙いなのだろうか。しかし、まったく分からなくて置いてきぼりにされた気分になった。
たとえば、主人公の女の子の恋人役のサム(弁護士)
サムは弁護士なので暴力ではなく対話をすれば問題は解決すると思ってるような人で、チンピラたちを心の底では見下している。こんな感じだ。
で、女の子が別のイケメン君と急接近してるところをサムが目撃して嫉妬するようなシーンがあった。
で、サムは女の子を求めるんだけど、女の子は気分じゃないので拒否される。
で、また女の子とイケメンが良い感じになってこれはヤっちゃうのか。。?!
と、思ったらサムがやってきて、嫉妬と狂気が爆発して大暴れ!!!
チンピラたちも想像を超える暴力と理不尽なルールで支配し、地下室の暴君となるのか!?
みたいな展開かなと思ったら、まったくそんなことなくて。。
イケメンといい感じになったけど、未遂だったし、それをサムが覗いていたわけでもなく。
ある意味予想を裏切る展開で、気が抜けてしまった。
で、すぐ死ぬかサムの手下になるだろうと思ってたチンピラたちが謎の狂気を得て、この作品のヒールに成り上がってしまった。。
バーサク状態になったら、主人公の女の子若いし、カラダを狙われるんだろうなと思いきやなぜか初老のシングルマザーが性奴隷みたいになってて、なんでその人を選んだのだ、、と、全く共感できなくて狂気が1ミリも染み込まずにすり抜けてゆく感覚を味わった。
作品内容と観客の心をディヴァイドさせる、という意味では大成功な映画だと思う。
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