『痛いファッション特集になぜ需要があるのか』の感想
読んで思うことをメモ。
なぜ『痛いファッション特集に需要があるのか』
「今は人に差をつけるファッションじゃなくて、痛いと思われない、浮かないファッションの特集が人気があるんですよ」
前にとあるファッション誌の編集さんからこんな言葉を聞いた。
『痛いと思われたくない、(周りから)浮かないファッションをしたい』という願望を抱いてる人が存在する。だから、そのような特集が人気になる。
なぜ需要があるのか?という問いの答えとしては、分かるような分からないような…という感想だ。
他者を痛いと思う理由
自分なりにもう少し考えてみたい。
まず…なぜ、痛いと思われたくないのか?
自分を守るためだ。
ある程度物事を考えられる人間は『誰かを痛いと思う視点』が、同時に自分を痛めつける矛になることを認識する。
自分を守るために、自分に矛を向けて模擬戦をしてる。
誰かに対して痛いと思ったときの状況を考えてみるとよい。
他者が非常識だったり、自分の価値観とそぐわない行動をしてる場面を見たときに『痛いなー』と思うのではないだろうか?
ファッションでの例を挙げてみると…
『40代のいい大人した女性がミニ・スカートなんていう若者が身につけるような服装をしているわ、痛いわねー』
『汚いおっさんが、韓流スターみたいなスキニーパンツに、オーバーサイズMA-1とか無理して着てるぞ、アイツ痛いなー』
って感じだろう。
こういう年齢の人は、こういう服装をしてはいけない。
こういう見た目の人は、こういう服装をしてはいけない。
といった、自分なりの『あるべき姿』のフィルターを通して他者を見ている。
まあ、他者を見ているだけなら幸せだ。
誰かを見て「あいつ痛いな!ガハハ!」って言ってればいい。
ところが、あなたはそのような神のような立場ではないことに気がつく。
あなたは何かしらの価値観を持つコミュニティーに属して日々生きてる。
つまり、他者を見ていると同時に、他者から見られているのだ。
他者からの視点は、雑誌やテレビ、WEBといった権威性のあるメディアだったり、身近にいる声のデカい人(職場のオシャレでモテまくってる同僚だったり、最近の例だと、年が近いユーチューバーやインスタグラマーだったり、多岐にわたる)だ。
ニワトリが先かタマゴが先か?という感じではあるが、他者への視点と他者からの視点のスパイラルによって自分の価値観ができてくる。
犬山氏の言葉を借りれば『呪い』かな。
視点スパイラル例を雑に考えてみる…
ある男子大学生。
他者からの視点 : 雑誌にチェックシャツはオタクっぽいって書いていたし、Youtuberの○○君もチェックシャツはオタクっぽいからやめようって言ってた
他者への視点 : 確かに大学のオタクっぽいってチェックシャツ着てるなー、チェックシャツじゃなくて白シャツにしてスキニーパンツはけばいいのに…あいつら痛いわー
こんな感じで『チェックシャツ=オタクっぽい』という価値観が彼の中にできあがる。
あえてオタクっぽく見られたいと思わない限り、彼はチェックシャツを着ないだろう。
なぜなら、自分を守るためだ。
『攻撃は最大の防御』を実践する人たち
なぜ自分を守るのか?
人から笑われたり、蔑まれたりすることや、コミュニティーから迫害されることを恐れるからだ。
なぜ恐れるのか?
他者が自分のアイデンティティになっているからではないかと考える。
何かに夢中なってる人や、強みを自覚してる人は恐れない。
アイデンティティを自分自身で握ってる感覚があるからだ。
彼らは守らず、自分がやるべきことに邁進してる。
攻めっぱなしだ。
アイデンティティを失ってる人は、確固たる価値観がないので、客観的な情報(年齢や外見、他者からのレビュー)で自分を見ることになる。
先の大学生の例を、確固たる価値観を持ってる人で置き換えてみると…
まず、ある男子大学生。
他者からの視点 : 雑誌にチェックシャツはオタクっぽいって書いていたし、Youtuberの○○君もチェックシャツはオタクっぽいからやめようって言ってた
他者への視点 : 確かに大学のオタクっぽいってチェックシャツ着てるなー、チェックシャツじゃなくて白シャツにしてスキニーパンツはけばいいのに…あいつら痛いわー
だった。
では、ファッションについて確固たる価値観を持ってる人はどうか?
他者からの視点 : 雑誌にチェックシャツはオタクっぽいって書いていたし、Youtuberの○○君もチェックシャツはオタクっぽいからやめようって言ってた
自分の価値観 : これでチェックシャツ=オタクという考え方は早計。チェックシャツはアメカジでよく使われる定番アイテムだし、男らしい外見の人だったらオタクっぽく見えない。ベッカムのような海外セレブだって普通に着てる。そもそも、オタクっぽく見えるのはチェックシャツが原因ではなく、服を着ている人の外見的な問題だ。これは単純にイケメンかブサメンかということではない。髪型を整えてるか、眉毛を整えてるか?意図を持ってヒゲをはやしているのか、ガリガリな体系なのにブカブカでサイズのあってない服を着ていないか?といった自身に対するケアが足りていないからだ。自分はこういう見た目なので、こういう風にチェックシャツを着れば良い。
他者への視点 : 悪いコーデに対する興味はあまりない。男女問わず良いと思えるコーデを見つけると喜ぶ、参考にできる点はないかと細かく観察する
もう一つ。
例えば、ファッションには全く興味ない確固たる価値観を持ってる人
他者からの視点 : 雑誌にチェックシャツはオタクっぽいって書いていたし、Youtuberの○○君もチェックシャツはオタクっぽいからやめようって言ってた
他者への視点 : 今度のコミケで頒布する冊子では○○をXXして…印刷はいつもの△△さんにお願いして…
という感じだ。
確固たる価値観を持ってる人にとっては、他者の視点はあくまで参考情報。
得た情報を鵜呑みせずに、考えて有用か無用か判断できる。
それから、全く別の価値観を軸に置いてる人にとっては、ある他者の視点って無駄でしかない。
確固たる価値観を持ってる人は、他者からの視点を得たときに、自分で判断できる、もしくは全く興味ない。
確固たる価値観を持ってない人は、他者から視点を得たときに、自分で判断できないので鵜呑みにする。
もちろん上記は雑な例なので、主語デカい的な様式美的行動は『はてブ村』でやってもらえればと思う。
確固たる価値観を持ってない人は『自分に対する不安視』にさいなまれているのではないか。
『自分の状況や、価値観はどうなんだろう?』という、自身では完結できない問いをしてる。
逆に自信がある人はそのような問いをしない。
自信という字面通り、自分を信じて、自分を肯定しているからだ。(金八先生の人という文字は…の件っぽくてクサいが。。)
私はこれらを占いと同じ類のモノであると理解している。
第三者の目によって自分を見てもらって、何か言って欲しいのだ。
自信があれば、他の人が言うことで右往左往しない。
『呪い』をうまく利用するやり方があってもいい
だからと言って「こういうファッションは痛い! NG!」って言うのに私は反対だ。だってそれ、呪いだもの。こういう呪いが世に蔓延したら好きなものを好きに着れなくなるし、そんな呪い今かけなくてもとっくに世には呪いが蔓延している。普通に身近な人から「もうアラサーなんだからミニは履けない」とか聞く。そんな呪いはいち早く消え去って欲しい。
好きなもの好きに着る、大いに結構だと思う。
呪いによって身動きをとれない例はいくらでもある、最近だと就活の面接例だろうか。
傍から見るとバカバカしい。
けど、その会社にどうしても入りたい人にとっては、すがりたい藁でもある。
婚活や恋活でファッションで困ってる男性にとっては「女ウケするファッション特集」はすがりたい藁だ。
彼らに好きなものを好きに着ればいいんだよ!他にもイイ人たくさんいるよ!って言ったところで、婚活、恋活が成功するわけでもない。
老害じみてるが、本当の自分をさらけ出して、それが認められるケースばかりじゃない。
マナーや道徳観念、美的感覚といったあらゆる『呪い』は言い換えればルールだ。
明文化されておらず、明示的なペナルティがないが、何か規則じみた存在だ。
そして、何かしらの目的に到達するためのルールがあるなら利用しない手はない。
私は『呪いでも何度も利用できるものは利用しろ』という立場だ。
人の価値観はそんなに簡単には変わらない。
そんな呪いダサい!と主張しても、人類がハッと目覚めることはない。
ブラック企業だって早く消え去ってほしいし、昔から糾弾されてきたけど、未だに問題がポロポロ発覚する。
馬鹿な伝統や体質だって早く消え去ってほしいけど、未だに遵守してるカルトな企業、学校、集団がある。
『呪い』は簡単に消えない。
コミュニケーションツールが発達してる現代において、未だにFAXを使って業務をやってる企業なんていくらでもある。
彼らに『FAXなんてクソですよ、Slack使えば一瞬じゃないですかw』と、言ったところで…
『外様が何いってんだ、俺らには俺らなりのやり方があるんだ』と反発されるのがオチ。
困ってることや、解決したい課題を丁寧に聞いて、はじめてSlackをすすめるのだ。
ファッションにおいて『呪い』という外的要因と『自身のゴール』という内的要因を、どうすり合わせていくか?
悪い言い方をすれば妥協案を、このクソブログでは更新していけたらいいと思ってる。
繰り返しになるが、好きな服を着たければ勝手に着ればいいし、何かゴールがあるなら『呪い』をうまく利用するって方法もあるよ、というスタンスだ。
とはいえ、明文化されてないことを良いことに適当なこと言いふらしてPV商売してる連中は消え去って欲しい。
『呪いでも何でも利用できるものは利用しろ』という立場とは矛盾するが。。
たしかに『呪いでも何でも利用できるものは利用しろ』を逆手にとってウソを教え込んで、無知な人から金をせしめる自由もある。
ただ、私自身はそういう行為を許せない『呪い』にかかっている。
美シルエットのフレアパンツをはけば女ウケ抜群!?
スキニーやテーパードシルエットが主流の今の時代に見たことないフレアパンツをレコメンドするってどういう神経してるの?
買う人が似合うかどうかなんて考えてないでしょ?
怒りしかない。
できることを少しずつでもいいからやっていきたい。
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