FINE BOYS(2017年2月)の感想文
2017/04/18
2017年はファッション激動の年になると予想している。
ビッグシルエットやワイドパンツ侵攻によってベースとなるシルエットの変化の兆候が感じられる。
また、マキシマムデザインと評されるような、イカついデザインや鮮やかな色使いの服が昨年から目につくようになってきた。
『普通』を重んじるノームコアの反動によって、本格的なカンブリア爆発が起こりそうだ。
自由奔放な学生のファッションは更に混沌としたモノになってゆくのだろう。
今年も注目していきたい。
良かったところ
今冬の流行服SNAP
ブサメンやフツメンにとってスナップは貴重な情報。
スナップにはオシャレ(世界に一つだけの花症候群こじらせてるヤツもいるけど)なブサメンやフツメン、チビ(デブは載ってないです…)、顔デカがドヤ顔をキメてる様子は愉快だし、地雷みたいなヤツ見つけると噴飯しちゃうけど、中には自分のキャラを理解してすごい上手に着こなしてる人もいる。
スナップは学習量を一気に増やせる。
絶対に見るべき。
オシャレな人はファッションに関する情報を吸収して、自分の中でファッションを体系化してる。
言葉では上手に説明できないが感覚的でイケてる着こなしをしちゃう人もいるし、理屈っぽく構築してゆくやり方でイケてる着こなしをする人もいる。
その辺の差異を見出すのも面白かったりする。
最近でこそいろんな情報が出てきてファッションを理屈っぽく解説してくれるメディアやサービスが増えてきたけど、まだまだ『ファッションはセンスでしょ』みたいな風潮あるよね。
これはオシャレな人って感覚的な人が多いことが原因かと。
感覚的な人ってのは、言語で着こなしの良し悪しを捉えようとしない人だ。
言語化したとしても、せいぜい「なんとなくしっくりこない」程度だ。
決してバカにしてるわけじゃない。
いちいち着こなしの是非を言語化して理論立てるより、いろいろ組み合わせて着てみたり、人の良いところをパクったりする方が早くいい結果を得られる。
感覚的な人は極めて実践的なんだよね。
ファッション(流行)って言葉のとおり、移り変わりの早い世界でウンウン唸ってようやく作り出した理論は既に陳腐化していた…なんてのは容易に想像できる。
じゃあ、理屈っぽく着こなしを捉えることはナンセンスなのか?
そんなことない。
色や服の組み合わせは限度なく作れる。
けど、世の中の人がすべからくチンプンカンプンな服装をしているわけではない。
よく見る着こなしのパターンってのは存在する。
このパターンを理屈っぽく分解してゆくと、着こなしの文法が見えてくる。
着こなしの文法が分かると、着こなしを自由に構築することができる。
着こなしの文法はそう簡単に陳腐化しない。
単語(ファッションでいえば服)は時代によって変わるけれども
いやいや。
いろんなコーディネートを目で見て、パターンを蓄積して、実践するだけでだいぶまともな服装できるよ。
個人的な見解だけどオシャレを作る要素比は『知識量9:センス1』だと思ってる。
変な格好してる人は反骨心だけが先行した芯の無い我流が多い。
雑誌を読んで勉強したり、人の真似したら負けって考えてる人。
「ファッションは爆発だ!」つって岡本太郎ライクなやり方に邁進していただくのも大いに結構。
だけど、まずはファッションの常識や定石を知るべきだね。
コモンセンスを知ってるからこそ、筋が通った痛快な反逆ができるんだよ。
やたらめったら暴れちらして『個性です!』ってのは形無しですわ。
たまに、そういう形無しがとんでもない一撃を繰り出すことはあるけどそれこそセンスを持った一握りの逸材ができること。
独学で服作りを学び、スキニールックでメンズファッションの潮流を一気に変えたエディ・スリマンや、これまた独学で服作りを学んで自身のブランドを成功させ、ジルサンダーやディオール、カルバンクラインといった有名ブランドのクリエイティブディレクターを務めているラフシモンズなんかは天才的な形無し。
自分の才能を信じてやまない気持ちは察しますが、我々は凡人です。
『アイディアは既知の組み合わせ』なんて文句もあるように、知識、常識を意外な形で組み合わせたり、引いてみたり、大きくしてみたりと捏ねくり回した試行の残像がセンスなんです。
イッセイミヤケやコムデギャルソンの人たちもそれまでのファッションの流れを汲んだ上で、既存の概念と自分の発想を鮮やかに対比させて見せたから、多くの人を惹き付けるブランドになった。
彼らは常識を知った上で、それを破壊していった。
守破離ってヤツですね。
馬の骨が上から目線でマウンティング失礼しますが、守破離は凡人のやり方なんです。
disってるわけではなく、凡人に革新的な価値を生み出す考え方伝えることができる、ってのは汎用性が高い優秀なフレームワークだよね。(アイディアは既知の組み合わせってのも煎じ詰めれば守破離だ)
脱線したけど、人の着こなしを真似したり、定番の組み合わせを知ることはめちゃくちゃ大事。
スナップは自分と近しい人の着こなしを参考にしたり、多くの人が実践してる色合わせや着合わせを学ぶことができるし、「これは絶対に無い」と思えるような反面教師を見つけることもできるので余計な地雷を踏まなくて済む。
『小汚い素人の服装なんかダサいし真似しても意味ないって、俺は芸能人みたいな格好したいんだ!』って息巻いてる人いるけどさ、アナタが福士蒼汰や松坂桃李の着こなしを真似てみても決して同じようにはなりませんよ。
だって、顔もスタイルも悪いから。
その辺を意識してかファインボーイズの専属モデルは押しなべて地味な顔立ちだよね。(まあ、福士蒼汰や松坂桃李も整っているけど華やかな顔じゃないね。あっさり目な顔は最近の流行りですからね)
スナップを何となく眺めて「あ、コートの中にデニムジャケット着るのイケてるのね」って思考停止して真似するのではなく『自分に似てる顔立ちや風貌の人』を見つけて注視すること。
自分がいいなと思ったコーディネートをそのまま参考にすると失敗します。
そのスナップに載ってる人間が着るから似合うのであって、万人に似合うわけではないってことを忘れないように。
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